達人に学ぶ

第1回 日米の比較によるこれからのビジネスリーダー

楠田:
2007年に団塊の世代がいよいよ定年を迎えます。世論では「2007年問題」として騒がれていますが、この問題に対して、ご意見をいただきたいと思います。
野田:

一般企業に勤めている会社員は、60歳または65歳で退職しなければいけません。この定年退職制度は、会社が今まで培ってきた財産を放棄することと同じであると思います。定年を迎える人たちが培ってきたキャリアや経験は、必ず企業や社会の役に立ちます。(全員が役に立つとは思いませんが…)

定年を迎える人たちは、会社にとってまだまだ必要な存在であると思いませんか? それなのになぜ、定年を区切りとして退職させなければならないのでしょうか? これまで企業は、社員一人ひとりの人材育成のためにいくら投資してきたのでしょうか? 定年退職制度で、企業が得ることは何もないのではないでしょうか?
企業内である程度の実績や功績を残してきた人の経験やキャリアは、これからの社会を担う若者の育成に何よりも必要であると思います。

楠田:
最近の企業は、女性が一生勤めることのできる環境づくりを整備したり、管理職に登用したりと、女性の社会進出に力を入れはじめました。しかし、女性を管理職に登用したところ、その女性管理職の上司となった男性から、「今まで男性の部下しかいなかったので女性の扱い方がわからない」「女性だからこの仕事はできないだろう」という声が聞かれます。そんな男性上司に対して一言お願いします。
野田:

女性の管理職登用については大いに賛成です。私のように、賛成意見の人も多いでしょうが、男性の中には、女性の社会進出はよくない傾向であると思っている人は、少なくとも、いるでしょう。
そう思う理由として、女性を“女”として見ているからではないでしょうか。日本人の国民性で、昔から“結婚したら家庭に入って夫を支える”という考え方が根付いているからではないかと思います。だからといって、なぜ女性を尊重できないのか。それについては疑問を持ちます。
この仕事は、女性だからできない――と決め付けているだけです。周囲をよく見回して思い返してください。男性にはできないことや男性がやりたがらないことを女性がやっていると思いませんか?

野田社長写真3

私は女性を尊敬しています。なぜかというと、女性は、男性にはできない「出産」という大仕事を一人でやり遂げ、男手を借りずに数年かけて、育児をこなす力を持っているからです。男性にできますか? 恐らく大半の男性には無理でしょう。このような大仕事をする女性をなぜ事務など一般職に配置するのでしょうか!

だから自分の上司が女性となった場合でも、下の人たちがある程度その立場を認めて尊重すれば、とてもいい上司になると思います。女性の管理職は、部下からの“人望”を得ることができないと、非常に窮屈な思いをするのではないでしょうか。特にポジションが上がれば上がるほど、その傾向にあると思います。

男性諸君、“女性にはかなわない”と心得てください。女性は、粘り強く、細かく、上手に嘘をつき、長生きするのです。そして忘れてはいけないのは、みなさんは母乳で育ててもらったということです。今ある命は母乳のおかげです。それを考えると女性に挑もうと思っても、かなうはずがありませんよね。
だから、女性を尊敬すべきです。実際に、会社で口うるさく言っている男性上司でも、家に帰れば奥さんの尻に敷かれている場合が多いのです。

女性を尊重できないという人は、もう少し「人」という言葉の意味を考えた方がいいと思います。「人」という文字は、一方がもう一方を支えています。それが男性なのか女性なのか、どちらが支えているのかは時と場合によって変わるでしょう。
男女がお互いに支えあい、尊重し合いながら、社会を築いていくことがこれからの時代には必要ですよね。

楠田:
所属するタレントを水着のグラビアから人気司会者が出演するクイズ番組のレギュラーまたは大河ドラマに出演させるまで、一人ひとりの適性を見極めつつ、厳しく、そして温かく見守りながらマネジメントを行っている野田社長独自の育成手法をインタビューで学ぶことができました。
――浮き沈みの激しい芸能界で、短期的な人気を要求するのではなく、3〜6年という中・長期的な視点に立ち、「新聞を読みなさい」「時間を厳守しなさい」と、基本的な人間力の育成に力を注ぐ。そして、1人の人間へと育てると同時に、一タレントとしても磨き上げていく――。
これまで述べてきた野田社長のマネジメント持論は、芸能界に限らず、一般的なビジネス社会にも応用できるのではないでしょうか。

Cybax Learning Review No.13(2004/11/18)掲載]

次回は、社団法人日本プロサッカーリーグ キャリアサポートセンターの中村 裕樹さんに、Jリーグにおけるキャリア支援についてお伺いします。

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